不動産業界におけるコンプライアンスチェックの重要性を考える/第五十一回
不動産IT技術研究所
今やどの不動産会社にも自社のHPがある時代。
ポータルサイトを利用したユーザーも、問い合わせた不動産会社がどのような会社なのか、HPを見て判断しているケースも少なくありません。今回は、以前取り上げた「明日からできる不動産HPのSEO<ブログの書き方編>」に続き、不動産会社のHP作りにおいて、SEOなどの視点から重要なポイントについてご紹介します。
著者:不動産IT技術研究会
不動産会社のHPでは、まず自社が何に特化している不動産会社なのかを明確にすることが重要です。そして、自社の得意分野や特化している事業がHPの「ターゲットキーワード」となります。
不動産HPのSEO<ブログの書き方編>でもご紹介しましたが、不動産会社HPのSEOにおいても、ターゲットキーワードが重要です。
ターゲットキーワードとは、その不動産会社が顧客となりうる顧客が検索しているキーワードを意味します。
ターゲットキーワードをきちんと選定し、グーグルやヤフーといった検索エンジンで上位表示させることで、アクセスや問い合わせ獲得を見込むことができます。
しかし、多くの不動産会社HPは、ターゲットキーワードに自社の得意分野を押し出すのではなく、「売買・賃貸・リフォームなど、不動産のことなら何でもお気軽にご相談ください」というように、不動産全般のあらゆる相談に対応できるということをアピールしてしまっています。
例えば、あなたが住宅ローンの返済計画で悩んでいるとして、街を歩いていてA社・B社の不動産会社の看板があったとしたら、どちらの会社に相談したいと思うでしょうか。
A社:「売買・賃貸・リフォームなど、不動産のことなら何でもお気軽にご相談ください」
B社:「住宅ローンの返済に困っていませんか。任売専門不動産会社」
恐らく、B社を選ぶはずです。
不動産会社HPも同様です。不動産全般の何でもできることをアピールしても、検索エンジンはそのことを評価することはできません。
なぜなら、全国の不動産会社が同じように不動産全般に強い会社であることをアピールしているからです。一方で、自社の得意分野をターゲットキーワードとして選定できれば、オリジナルであることを強調することができ、検索エンジンからの評価を受けることが可能です。
では、具体的にどのようなことをターゲットキーワードにすれば良いのでしょうか。
3つのポイントで解説します。
不動産会社であれば、自社の商圏となっている地域やエリアが必ずあるはずです。
「関東一都三県」
「関西一円」
など、広域が商圏となっている企業もありますが、可能な限り市区町村単位までを限定することをおすすめします。
「○○市に特化」
「◇◇町に特化」
複数の市区町村にまたがっているのであれば、
「○○市・○○市・○○町に特化」
と、明確に設定しましょう。
自社が得意な業務・業種を盛り込むことも重要です。
今現在、得意としている業務でなくとも、今後獲得したい見込み客を想定して業務特化させることも可能です。
「賃貸管理に特化」
「売買仲介に特化」
「不動産買取に特化」
といった、業種での特化を際立たせることや、
「任意売却に特化」
「相続案件に特化」
など、顧客の相談理由から得意分野を見つけることも可能です。
得意な物件の種別で、ターゲットキーワードを設定させることも効果的です。
都心や首都圏であれば、案件の多い
「分譲マンションに特化」
「投資マンションに特化」
など、単なる「マンション」とするのではなく「分譲」「投資」「区分」など厳密な種別までを決めることも良いかもしれません。
その他にも、「戸建てに特化」→商圏に対象物件が多いのであれば「築15年以上の戸建てに特化」などもおすすめ。
「空き家に特化」
など、取り扱いたい物件の種別を明確に選定しましょう。
ここまで解説してきた、自社の得意分野=ターゲットキーワードをひとつの文章にしてみましょう。
例えば、
「△△市で分譲マンションの売却に特化」
「○○町の区分マンションの賃貸管理に特化」
「◇◇町の相続に関するご相談に特化」
といったものになるはずです。
これを、自社HPのトップページのタイトルタグに設定しましょう。
タイトルタグとは、そのウェブページの名前を表す重要なHTMLタグの1つで、検索エンジンで検索した際に表示される文章の部分です。
「△△市で分譲マンションの売却なら○○不動産(貴社名)」といった文言をタイトルタグに設置することで、△△市で分譲マンションを売りたいと考えている検索ユーザーに、自社サイトを見つけてもらいやすくなります。
その他にも、h1タグやh2タグに、「△△市」「分譲マンション」「売却」といったキーワードをちりばめた見出しやコンテンツを付け加えることで、より高いSEO効果を見込むことができます。
例)
(h1)「△△市で分譲マンションの売却なら○○不動産」(タイトルタグと同じ)
(h2)当社が△△市の分譲マンションに強い理由
(h2)△△市の分譲マンション売却のコツ
など、1ページに様々な見出しを付け加えることも良いですし、別のページにそういったコンテンツを足すことも重要です。
近年、スマートフォンでHPにアクセスするユーザーが増加していることから、グーグルを始めとした検索エンジンは、スマホの画面表示に対応したHPであるかどうかも、SEOの重要な要素として判断するようになりました。
お手持ちのスマホで、自社のサイトを見てみましょう。
パソコンで表示されるものと同じデザインが、縮小してスマホ画面に表示されたとしたら、スマホに未対応なHPかもしれません。
スマホの画面に沿った綺麗なレイアウトで、文字の大きさも適切であるかなども確認しましょう。
また、ページが表示される速度もSEOには重要な項目になっています。
Googleが提供している「PageSpeed Insights」というサイトで、自社サイトのページスピードを確認してみましょう。
100点満点のスコアで、スマホ・パソコンそれぞれで、ページスピードの状態を見ることができます。
49点未満の赤文字の場合、ページスピードを改善する施策を打った方が良いでしょう。HPに使用している画像の容量が大きい、といったことが原因であることが多いです。
これら、スマホ表示やページスピードの改善は自分たちだけで対応することが難しいかもしれません。HPの運用をお願いしているHP制作会社やサービス提供会社、もちろん当社にご相談いただいてもかまいません。
SEOとはあまり関係ありませんが、不動産会社HPのスタッフ紹介ページは実はとても重要です。
2018年に不動産会社に向けたサービスを提供しているヒトワークス(東京都千代田区)の「不動産取引時のウェブサイト閲覧割合調査」には、エンドユーザーが不動産取引を行う際、ウェブサイト閲覧に関するアンケート結果を発表しています。
そのなかで、「取引の際、不動産会社のウェブサイトを閲覧しましたか」という項目では、70%以上のユーザーが「はい」と答えており、「スタッフ紹介ページを閲覧しましたか」という質問には55.5%のユーザーが「はい」と答えています。
また、「スタッフ紹介ページの充実度は、不動産会社を決める上で重要な指標になりますか」という設問では、“「とても重要」と回答したユーザーは【25%】、「やや重要」と回答したユーザーは【26.2%】と、全体の【50%以上】がスタッフ紹介ページの充実度が重要であると回答しています。”(本文引用)。
このように、ユーザーの多くはスタッフ紹介ページを確認し、どういった人が担当者なのか、その素性を把握したいと考えています。
写真と簡単なプロフィールだけの簡単なものではなく、
生年月日
出身地
趣味・特技
座右の銘
これまでのキャリア
といった自信のパーソナルな自己紹介で親近感や安心感を持ってもらえるようにすることに加えて、
得意な不動産業務
これまでで忘れられない取引について
日々の不動産業務で心がけていること
など、専門的な情報なども加えることで、深くスタッフを知ってもらえるようなスタッフ紹介ページを作りましょう。
不動産会社HPのSEOは、まず自社の得意な事業、特化しているものを設定することが重要です。
特に、同じ商圏で競合他社の不動産会社HPによる集客が成功しているようであれば、尚更同じようなやり方での成功は難しいでしょう。
他社が打ち出していないオリジナルな専門要素を打ち出し、ユーザーにとって有益なHPであることをアピールすることが重要です。