不動産業界におけるコンプライアンスチェックの重要性を考える/第五十一回
不動産IT技術研究所
第七回となる今回は、少々時期が早いですが「不動産会社における新入社員の教育」というテーマでお話ししたいと思います。
4月になると皆様の会社にも新入社員が入社してきます。不動産会社としてどのような教育をしていけばよいのか考えていきたいと思います。
尚、基本的なビジネスマナーについてはここでは取り上げませんのでご了承ください。
すべての業務は業法に基づいて行われます。
全員が宅建士を取得して入社していればよいですが、残念ながらなかなかそうはいきません。
業法違反をすると、業務の停止や社会的信頼の低下を招きます。入社したら、まずは業務で守るべき法律を全員で確認しましょう。また、業法ではないですが、個人情報の取扱については必ずセットで確認するようにしましょう。
営業では、お客様を現地へご案内することが増えます。
もともと地元の出身のスタッフであればよいですが、そうでない場合は土地勘がないため、現地まで遠回りしてしまったり、周辺情報をお客様に答えられないといったことが起こってしまいます。
先輩が助手席に乗って、管理物件を順番に回って道を覚えると同時に、以下の項目を確認しましょう。
・物件の特徴(比較対象物件も一緒に覚えましょう)
・最寄駅からのルート
・学校、病院、スーパーなどの情報
・案内する際の持ちもの(物件資料、方位磁石、メジャー、スリッパなど)
賃貸の場合、オーナー様は会社にとって重要なステークホルダーです。今後のやりとりをスムーズにするためにも、オーナー様への挨拶は最優先事項として実施してください。
近隣にお住いの場合は先輩と一緒に訪問し、遠方の場合は名刺(できれば写真もつけましょう)とお手紙をお送りします。
社内報のようなもので、新入社員全員を紹介する記事をお送りするのもよいかも知れません。
どんな業界でもそうですが、営業する以上は自社の製品を覚えなければいけません。筆者がこれまで見てきたよくできる営業マンは、お客様が物件を迷っているときにすぐにほかの物件が頭に浮かぶ営業マンです。頭に物件のデータベースがあるのです。
まずは管理物件のリストをもたせ、物件を何件覚えたかをチェックしていくようにしましょう。
新入社員には契約書と重要事項説明書を必ず読ませるようにしましょう。
黙読ではなく音読をさせます。なぜなら、契約書や重要事項説明書には、普段なじみのない用語が並んでいます。読み方、意味を必ずすべて理解するようまで繰り返し実施させるようにします。
お客様は担当するスタッフが新入社員かどうかわかりません。場合によっては接客でお客様に不自由をかけてしまうことがあるかもしれません。飲食店などで「見習い中」という札をつけている従業員を目にすることがありますが、当初の3ヶ月ぐらいはこのような札をつけて、リスク管理するのもよいかもしれません。