地震被害に備える。賃貸不動産会社の役割や備えるポイント/第四十九回

不動産コラム

2024年1月1日に発生した能登半島地震は、多くの建物が倒壊し、関連死を含めて200名以上の方が亡くなり、千名以上の方が負傷しました。被災された皆様には、心からお見舞いを申し上げるとともに、一日でも早い復興を願っています。
日本の全域で地震災害の可能性があるといわれている日本では、賃貸経営・賃貸不動産業の従事者やオーナーなどが、常日頃から地震発生を想定し、対応策や備えを整えておくことが重要です。

地震が発生した際に賃貸不動産会社、従事者が取るべき行動や事前に備えるポイントについて解説します。

不動産事業者が地震災害に備えるポイント

地震は予測できないからこそ、普段から地震発生に備えた組織作りが管理会社に求められています。また、事前に地震発生時にどのような初動対応を行うべきかなどのフローを社内で共有し、認識させておくことも重要です。
店舗・事務所の営業時間帯に地震が発生する可能性もあります。その際には、従業員の安否確認に加え、来店客の避難経路や安全確保なども想定しなければなりません。

過去、阪神淡路大震災や東日本大震災、熊本地震などを経験した不動産事業者が口を揃えるのが、事前準備や想定したフローの有無で、被災後の対応や想定外の事態に見舞われたときの冷静な判断などに大きな差があるということです。

賃貸不動産の事業者が地震災害に備えるポイントについていくつかを紹介します。

緊急連絡先の把握。連絡方法の確立

地震発生直後に、安否や情報確認を迅速に行うために、従業員や入居者、オーナーの緊急連絡先を常に最新の情報に更新しておきましょう。契約の更新や定期的なコミュニケーションを通じて、差違がないかを確認します。

東日本大震災では、携帯電話やスマートフォンの電話回線よりも、SNSやメールなどのインターネットを介したコミュニケーション手段の方が有効であることがわかっています。
緊急時に連絡を取り合える手段を確保する方法としても、社内でのチャットツールを導入するといった対策は有効です。

書類や電子データの管理

管理物件や入居者、オーナーに関する重要書類は、賃貸管理業の根幹となるものです。日頃から適正に管理することで、被災後であっても速やかな業務再開が可能となります。

書類を紙媒体だけで保管している場合は物理的な要因で、電子データもすぐには使えない可能性があります。
情報を常に最新のものとなるように更新をかけるとともに、紙媒体をPDFデータ化しクラウドサービスにアップロードすることで、どこからでもアクセスして確認可能な環境を確率しましょう。
最近では、賃貸不動産業に特化した書類保管サービスなども登場しています。

また、物件の鍵やキーボックスの保管方法や保管場所なども非常時に備えて考えておきましょう。オーナーに保管してもらうといったものも1つの方法でしょう。

建物の保全や防災対応を講じる

阪神大震災では、旧耐震の建物が倒壊して入居者が亡くなり、オーナーに損害賠償が命じられた事例もありました。他の震災においても、建物や外部設備の瑕疵によって損害が発生しています。
建物の修繕や耐震診断を疎かにすると、人命に関わる事態に陥ってしまうリスクをオーナーと共有し、定期的な建物の保全や修繕を心がけるようにしましょう。

被災時に管理会社が取るべき行動

被災直後から、住生活に関わる不動産事業者は様々な対応に迫られます。
過去の事例からどのような対応が必要なのかを紹介します。

電話対応。できること・でなきないことの明確化

地震が発生した直後から、入居者・オーナーからの電話がひっきりなしに、ものすごい数がかかってきたという管理会社は多いようです。
ライフラインの状況や家財保険に対応しているか、住み替え先に関する問い合わせなど、個別性の高い様々な連絡があります。
ひとつひとつの問い合わせに対応していると、スタッフも疲弊してしまい、業務が回らなくなってしまう可能性もあります。そのため、被災時には対応可能なこと・対応が不可能なこと、また対応する優先順位などを、明確にとりまとめ早期に従業員に共有することが重要です。

また、電話対応や建物の状況確認、入居者・オーナーとの連絡など、スタッフを役割ごとに分けることで効率化を図ることも効果的です。

賃貸型応急住宅(みなし仮設住宅)の対応

多くの建物が倒壊するなどで、住まいが失われた被災者に対して、自治体が賃貸物件を借り上げて被災者に住居を提供する「賃貸型応急住宅(みなし仮設住宅)」を提供することも、地域に根差し、地域貢献を行う賃貸管理会社の重要な役割です。
自治体ごとの対応手順や書類のやりとりについて把握しておくことが重要です。

2024年に発生した能登半島地震で倒壊した多くは戸建て住宅で、被災地のなかには賃貸住宅や共同住宅がほとんどないため、賃貸型応急住宅の提供が難しい地域もあったようです。
地方などでは賃貸住宅がほとんどない地域もあるため、率先して賃貸型応急住宅を提供できる準備をしておくことも重要です。

被災物件の防犯対応

過去の震災時、入居者が避難所などに避難し、住居が空室になったことで、窃盗や盗難被害などが多発しました。
着の身着のままで避難した方も多く、施錠などをせずに飛び出した住まいの盗難防止や建物の管理責任は管理会社にあります。

建物の状態を確認し、安全に配慮することが大前提ですが、ドアの施錠確認や部屋の応急処置、電池やバッテリー式のIoTカメラ・防犯カメラの設置などを検討しましょう。

まとめ

冒頭でもお伝えしたように、1月に発生した能登半島地震は、未だ復興のめどが立たず、不安な日々を送られている方々がたくさんいらっしゃいます。
そういったなかで、地元不動産会社による住宅の無償提供や家具家電の無料貸与、全国の不動産会社からの義援金といった発表や報道を見るたびに、同じ不動産業界に身を置く者として非常に誇らしく感じています。

人々の生活において切り離せない衣食住のなかで、住まいが担う重要性を再認識し、我々ができることが何なのかが問われています。

参考文献「~多角的視点で学ぶ~防災マニュア」日本賃貸住宅管理協会

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