不動産業界におけるコンプライアンス/第八回

不動産コラム

第八回となる今回は、「不動産業界におけるコンプライアンス」というテーマでお話ししたいと思います。

不動産業界におけるコンプライアンス

1.コンプライアンスとは

コンプライアンスという言葉を最近ではよく耳にしますね。ご存知とは思いますが、日本語では「法令遵守」と言います。法令を守って、企業倫理を確立するということが目的です。
難しいことは言っていませんね。ルールを守ればよいのです。

2.コンプライアンス違反をした場合の社会的制裁

コンプライアンス違反をした場合の社会的制裁

東京商工リサーチの調べによりますと、コンプライアンス違反による企業の倒産件数は2015年上期だけで103社にものぼります。
コンプライアンス違反のニュースは比較的耳にするため、知っている事件も多いのではないでしょうか。たとえば・・

・某メーカーのゴムの免震の偽装事件
・某マンションの杭の長さ不足
・某電機メーカーの不正会計
・某ショップ店員による顧客情報の漏えい など

このような事件を起こした場合、企業の社会的価値は下がり、結果顧客離れも進み、経営状態の悪化を招きます。最悪の場合、倒産することもあります。

3.コンプライアンス違反となる例

では、不動産業界で起こりうるコンプライアンス違反には、どのようなものがあるのでしょうか。

(1)顧客情報の漏えい
これは筆者も経験したことがある事案です。特に都内に限定されますが、物件を案内する際に、営業担当者がこのマンションに芸能人の誰々が住んでいるといったことをお客様に話してしまうケースです。
また最近でも、実際に部屋を探しに来た芸能人の情報をツイッターでつぶやいた不動産会社が謝罪に追い込まれる事件がありました。
来店したお客様や既存の入居者の情報は決して、口外してはいけません。

(2)重要事項説明
契約には重要事項を行うことが義務付けられています。以下の点は守られているでしょうか。

・契約前に重要事項説明を行うこと
・宅建士による対面式での重要事項説明(郵送は不可)
・重要事項説明の際、宅建士は免許を提示すること
・事故物件(自殺などがあった物件)についての説明

いずれも怠るとコンプライアンス違反となりますので、注意してください。

(3)カギ交換
賃貸では、カギ交換代を賃借人に負担させている契約をよく見ます。しかしながら、本来はカギ交換の義務は賃貸人にあります。慣習のようになっているため、今でも賃借人が支払っていますが、訴訟となった場合は負ける可能性があります。家主様にきちんと説明をして、カギ交換代を負担頂くよう検討してください。

4.コンプライアンス違反が起こった場合の対策

コンプライアンス違反がもし起こってしまった場合のために、企業として何をすべきでしょうか。すぐに対応がとれるような社内統治システムを検討してください。具体的には、

・コンプライアンス対応の責任者の任命
・報告ルートの整備
・顧問弁護士との連携
・事業継続計画(BCP)の作成
・全従業員に対する教育の実施
などです。

法令を遵守するのは当然のことではありますが、お客様からの信頼をアップさせるためにも、意識の高い企業を目指してください。

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