不動産業界におけるコンプライアンスチェックの重要性を考える/第五十一回
不動産IT技術研究所
今回は、「家賃保証サービス」というテーマでお話ししたいと思います。
家賃保証サービスをすでに導入済みの不動産管理会社の方も多いと思いますが、改めて家賃保証サービスについてご説明します。
家賃保証サービスを提供する家賃保証会社(滞納保証会社など呼び方はいろいろとありますが、本コラムでは家賃保証会社とします)は、これまで賃貸借契約の際に必要だった連帯保証人の代わりに保証人となり、家賃を不動産管理会社に支払い、契約者に家賃を請求するサービスです。
契約者は、利用する場合に保証料を家賃保証会社に支払うことが一般的です。保証料は定額や家賃の0.5ヶ月などがあります。
また、更新時に保証料を支払うことが一般的です。
家賃保証サービスを利用する不動産管理会社のメリットは、滞納リスクの軽減です。
督促業務に関する経費や時間の大幅な軽減やアウトソーシングの効果が期待できます。
また、借上保証を行っている管理物件については、必ず家賃が回収できることでキャッシュフローの正常化を図ることができます。
賃貸借契約に関していうと、保証人を探してもらう手間がなくなるために、申し込みから契約までの時間短縮も図ることができます。
家賃保証サービスを利用する契約者のメリットは、保証人をつける負担がなくなることです。保証人を依頼することは、実際にはなかなかハードルが高い問題です。
さて、ここまでお話しした家賃保証サービスですが、何も問題はないわけではありません。
一つは、家賃保証サービスの義務化です。
確かに不動産管理会社にとっては家賃集金を一元化できるメリットがありますが、そもそも保証人をたてることができる契約者の場合、保証料という必要のなかった費用が発生することになります。
家賃保証サービスの利用を必須にしたがために、お客様が他の不動産管理会社の物件へ流れてしまう場合があるかもしれません。
二つ目は、家賃保証サービス自体に法律的な縛りがありません。そこで2011年12月に国土交通省は「賃貸宅管理業者登録制度」を始めましたが、任意登録のため実効性については疑問が残ります。但し、今後は義務化する方向で検討されているようですので、これまでにない規制が出てくる可能性もあります。
いずれにせよ、不動産管理会社や契約にとって、一定のメリットのあるサービスであることには間違いないので、業務の効率化やリスク低減のために適切に運用して業務に役立てていただきたいと思います。