不動産業界におけるコンプライアンスチェックの重要性を考える/第五十一回
不動産IT技術研究所
今回は2016年の総括として、筆者が今年特に気になったものを取り上げたいと思います。
このコラムでも何度か取り上げていますが、2015年から国土交通省が主体になって、「ITを活用した重要事項説明に係る社会実験」が行われています。実験に参加する登録事業者は303社になっています。不動産ポータルサイトでも対応物件を見かけるようになりました。
[参考]ITを活用した重要事項説明に係る社会実験(国土交通省)
標準化された場合、業務のオペレーションが変わるとともに、それに特化したシステムも必要になると思います。システム会社としても新たなビジネスチャンスになることが予想されます。
こちらも以前取り上げましたが、スマートフォンを利用した鍵が登場してきました。埼玉県の不動産会社が、スマートフォンなどでドアの開閉・管理を行うソリューションを管理物件に本格的に導入することを発表しました。セキュリティ対策の問題も含めて、信頼できるソリューションが出てきたということだと思います。今後、既存の老舗のメーカーやシステム会社がどのような対応を取っていくのか注目していきたいと思います。
不動産ポータルサイトでのおとり広告は昔から問題になっていました。最近では個人でおとり広告調査を行った方がブログなどで取り上げたりしています。業界での組織的な対応については、大手フランチャイズでの店舗指導などもありますが、首都圏不動産公正取引協議会のポータルサイト広告適正化部会で対策を検討しているようです。同組織では、違反広告を繰り返すなどの改善の見込みが低い不動産事業者の情報を共有し、部会のメンバー会社5社がそれぞれ対応していく施策をはじめたようです。
尚、部会のメンバー会社は以下の通りです。*1
・アットホーム株式会社
・株式会社CHINTAI
・株式会社ネクスト
・株式会社マイナビ(平成27年4月1日入会)
・株式会社リクルート住まいカンパニー
*1 公益社団法人 首都圏不動産公正取引協議会「不動産事業者情報の共有」について
千葉県の市川市や柏市にある企業寮をリノベーションして賃貸にするニュースがありました。
企業の寮というのは、大手企業が保有していることが多いですが、働き方の多様性や物件の老朽化などを理由に、リノベーションして賃貸にするという動きは今後も加速していくものと思われます。
家主が自ら入居者を募集する不動産情報サイトが登場しました。これまでの不動産管理会社任せから、家主が主体的に参加する流れになってきていることが分かります。この動きについては、家主の世代交代が始まっていることも影響しているのではないかと思います。現在は、首都圏と関西圏のみが対象のようですが、筆者も居住用住宅を貸しているため、こういったサービスが増えてくることを歓迎したいと思います。