不動産業界におけるコンプライアンスチェックの重要性を考える/第五十一回
不動産IT技術研究所
今回は、2018年度の不動産業界の動向について予想したいと思います。
住宅ローンの主要商品である変動金利の10年固定では、金利はこれまで同様に低い水準で推移しています。
そのため、2018年も引き続き、分譲マンションや住宅購入の市場は冷えることはないと思われます。
しかしながら、全国一律そうかと言えばそうではなく、やはり都心と郊外では温度差があります。
再開発が活発な都心部では、マンション開発が引き続き盛んにおこなわれており、まだまだ活気があります。
一方、郊外ではアクセスの良い駅周辺や人気の学区といった条件がよいところでは引き続き好調と思われますが、そうでないエリアでは、苦戦が続くものと思われます。
また、中古住宅については、高齢化に伴い購入意欲のある消費者の数よりも提供する数が上回っており、在庫が増えてきているように思われます。
都心部では、外国人投資家による購入も活発ですので、購入者の幅は広がってきたと言ってよいでしょう。
首都圏の居住用賃貸物件の成約数は、2017年12月期では、前年同月比6ヶ月連続増ということが発表されています※1。
労働人口の減少により求人倍率も増えていることから、企業が多く・商業施設がある都市部では人口の増加が続いています。
例えば、九州では各地域で人口減が続いているものの、福岡市は増加が続いています。そのような都市部の地域では引き続き賃貸市場も好調な状況が続くものと予想されますが、他の地域では空室は増加しており、家主にとっては頭の痛い状況が続くものと思われます。
居住用以外の賃貸市場では、トランクルーム市場が拡大しています。
屋外型はコンテナなどの購入が必要ですが、屋内型は居住用賃貸をリフォームして提供している例もみられ、居住用の空室になやむ家主の新たな対策として今後は増えていくかもしれません。
※1. 株式会社アットホーム「首都圏の居住用賃貸物件(12月)2018年1月26日」より
不動産業界を取り巻くテクノロジーについては、昨今、世間で騒がれているIoT、AI、VRなどがどのように業界に入り込んでくるのか楽しみではあります。
不動産テックに意欲的なベンチャー企業なども出てきており、まだまだ新しいサービスが登場するかもしれません。
例えば、AIによるデータ解析、VRによる物件案内システム、IoTによる管理業務の自動化や住宅セキュリティサービスなど、スマホと鍵の連動など既にサービスが一部出てきているものもありますが、引き続き注目していきたいと思います。