不動産業界におけるコンプライアンスチェックの重要性を考える/第五十一回
不動産IT技術研究所
今回は、不動産賃貸で必ずつきまとう「空室対策」について考えていきたいと思います。
筆者は、以前不動産賃貸の会社に勤めていましたので、家主の方々へ空室対策の話へお伺いします。不動産会社が空室対策としてよく提案するのが、主に以下のようなものだと思います。
・家賃の見直し
・物件のリフォーム
・設備の追加
・フリーレント
筆者もわずか1部屋ではありますが物件を貸していますので、家主側の意見として少しコメントしたいと思います。空室になったときに、まず家賃の見直しやフリーレントをすぐに提案してくる担当者はあまり信用ができません。それは高い賃料を無理やり維持しろと言っているのではなく、一度下げた家賃はなかなか元には戻せないからです。また、フリーレントも同様に、収支に大きな影響を与えます。ローンを抱えて家主をされている方が大半ですから、収支がマイナスになれば、生活の設計自体を見直さなければなりません。
意外かもしれませんが、リフォームや設備の追加の話のほうが前向きに感じられるのです。もちろんそれなりに費用が掛かることではありますが、最近では分割払いのできるリフォームローンなどもありますので、共益費(もしくは管理費)の見直しなどと合わせて計画的に実施することができます。 (あくまで筆者の個人的な意見ですが、共益費をなぜか家賃込にしている物件をよく見かけますが、本来は共益費は共用設備にかかる部分の分担費用なわけですから、分けるべきと考えます。)
とはいえ、リフォームや設備の追加も、時代のながれで実はそれほどニーズのない設備もあるように思います。
例えば、管理会社がよく提案する設備に以下のようなものがありますが、本当にニーズがあるのかよくよく調べる必要があります。
・インターネット設備
→今やスマホ時代に果たして必要?
・バス・トイレを分ける
→単身用であれば、きれいなシャワースペースのみでもいい気がします
それよりも、例えば最近は高価な自転車を乗る方が増えてきています。そういった方は、盗まれないように自宅内に置いている人を見かけます。
しかし、室内に持ち込むとぶつけてあちこちを傷をつける恐れがあったりしますので、そのような対策が取られた設備(壁にかけられるパーツとか、床において多少傷がついてもいいような素材の床材をつかうなど)があってもよいかもしれません。
しかし、どうにも良い案がない場合は、物件の売却という提案も必要かもしれません。負債になる恐れがあるものをいつまでも保有させるよりは早く見切りをつけて手放すこともリスクヘッジだと思います。
空室対策は奥が深いですが、管理会社の知恵の出しどころですので、ぜひ斬新で且つ安心な提案をしていただきたいと思います。