不動産業界におけるコンプライアンスチェックの重要性を考える/第五十一回
不動産IT技術研究所
2019年最初のテーマは、不動産会社開業のための準備についてお話をしたいと思います。
著者:不動産IT技術研究会
筆者も実は不動産会社を立ち上げたいと思ったことがあります。
不動産会社では、ベテランの従業員の方が独立されるというはよくある話です。筆者が勤務していた会社でも、知っているだけでその後独立された方が5人以上いました。では、不動産会社が開業するには何が必要なのでしょうか。まずは、事業計画が必要です。
計画に含める項目として
初期費用
資本金、店舗にかかる初期費用(テナント契約費用、設備、内装費など)、法人登記費用、宅建協会などへの登録料などがあります。
売上計画
リーシングの場合、地域の平均賃料から仲介手数料の相場を割出し、契約数の目標を定めます。
費用計画
人件費、テナント賃料、光熱費、ガソリン代、ソフトウェア費用などがあります。
さて、お店を開業するにはどんな立地のテナントを借りるのがよいでしょうか。駅前の目立つ場所、できればビルの1階を借りたいでしょうか、確かにそれもいいと思います。しかしながら、駅前という好立地であれば当然家賃も高いです。よく考えてください。お客様がもっとも時間を費やす場所はお店でしょうか。
違います。それは物件の現地案内です。そう考えると、必ずしもお店が駅前や1階である必要はないでしょう。IT重説がすすめば、なおさら立地は重要ではなくなると思います。
例えば、あなたがスニーカーを買いたいとき、品ぞろえの悪いお店にお客様は行くのでしょうか。品揃えの悪いお店にはいきませんよね。また、最近はネット通販で買う方も増えてきていますが、ネット通販でも種類や在庫が少ないサイトは人気がありません。
不動産も同じです。まずは物件をたくさん仕入れましょう。店舗を出店するエリアを網羅するぐらい管理会社や家主様にアポイントをとって物件の仲介の話をつけましょう。
スタッフが決まったら、業務オペレーションを書き出してみましょう。そして何が必要かをできれば時系列に纏められるとよいでしょう。なぜこの作業が必要かというと、不動産業務は未だに属人的な体制で業務をされている店舗が多数あるからです。属人化すると、顧客サービスの品質が落ちるだけでなく、無駄が生まれ、またトラブルも起きやすいからです。
ある程度の業務はマニュアル化することをお勧めします。マニュアル化することで、その業務を後々にIT化することの検討ができます。
上記で述べた物件仕入やオペレーションの標準化、またお客様との契約といったものを管理するためには、不動産システムの導入を検討しましょう。昔と違い、今の不動産システムはクラウド(ここではクラウドの説明は割愛します。)で構築されているものが多く、不動産会社が自社でサーバなどを持つ必要はなく、ITに詳しい社員を雇う必要もなくなってきました。クラウド型のシステムを提供しているソフトウェアベンダーなどを比較検討するとよいでしょう。
また、ホームページの開設も必要です。PCとスマートフォン版の二つを用意するのが必須です。合わせてメールアドレスも作成しましょう。また、SNSを活用するのもよいと思いますが、利用方法を適切に定めないと業法に抵触する可能性があります(例えば宅建免許番号を提示しない、取引態様を提示しないなど、不動産の物件広告の原則を守った運用が必要です。)
今回は、不動産会社開業のための準備について、概要をご説明しました。次回はもう少しそれぞれを掘り下げてお伝えします。