不動産業界におけるコンプライアンスチェックの重要性を考える/第五十一回
不動産IT技術研究所
前回は「不動産会社開業のため準備①」ということで、不動産会社を開業するために必要な事項を概要レベルでお伝えしました。今回はその2回目ということで、もう少し掘り下げてお話をしたいと思います。
著者:不動産IT技術研究会
まずは、開業の準備として事務所をどこにするのか決めなければなりません。
前回お話ししたように、駅より近くて目立つ店舗に出店できれば言うことはないのですが、新規の時点では固定費にあたる店舗の賃料はできれば抑えることが良いと思います。また、近年ではネットによる集客が主流でありますので、昔のような飛び込み来店の比率は減少傾向にあると言えます。
そのため、必ずしも1階店舗である必要はありません。
かといって自宅を事務所にするとなると、専用の出入り口を設置し、なおかつ居住地域とは分離しないといけませんので、できればお勧めはしません。
店舗設置の目途が立ったら、法人の設立の手続きを行います。
詳しい会社法については説明は省略しますが、以下のような流れになります。
商号、本社住所、事業目的、役員構成の決定
定款の作成(所謂、会社のルール)
定款の承認(公証人役場での認証)
出資金の払込
法務局への登記申請
開業資金は、資本金のほかに、店舗の初期費用、法人登記費用、宅建協会の加入費用があります。
資本金
現在の法律では金額の制限がありませんので、資本金があまり用意できない場合は、安く抑えるのがよいでしょう。
店舗開設費用
主に以下のような費用が発生します。
保証金、仲介手数料、賃料、保険、通信費、内外装費用、看板設置費用、設備費(複合機、パソコンなど)、システム利用料(ホームページや賃貸営業支援システムなど)各項目を見積もり、事業計画を作成して、金融機関からの借入をするのが一般的だと思います。
宅建を勉強された方ならご存知の通り、宅地建物取引業法では一定数の宅地建物取引士の設置が義務付けられています。本社のみであれば、5人につき1名という割合で設置する必要があります。
宅地建物取引業を行うには、国土交通大臣または都道府県知事の免許を取得しないと業務ができないことになっています。本社のエリアのみでまずは事業を行うのであれば、都府県庁へ出向き、免許取得の手続きを行います。
開業が決まったら、各都道府県の宅地建物取引業協会(以下、宅建協会)へ加入しましょう。
開業の際には、営業保証金として1,000万円(主たる事務所)を供託しないといけないのですが、全国宅地建物取引業保証協会へ加入すると60万円に減額されます。初期費用の大幅な削減になります。
宅地建物取引業協会へ加入すると、この減免措置が行えるとともに、事業に必要な各種書類(契約書や重説など)の雛型が提供されたり、レインズなどのシステムが利用できるようになります。
以上、説明したようなことが整えば、いよいよあなたの会社が開業です。
よく不動産会社のCMで見かける、長くて地域に愛される会社を目指して、頑張ってください。